高血圧は、ほとんど自覚症状がありませんので、健康診断などで多少血圧が高くても放っておかれることが多いです。
高血圧による弊害は、5年10年と経った頃に、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの大きな病気につながります。
「放っておいてもいいかな」「でも気になるな」と思われたら記事の続きをご覧ください。

血圧が高いとどうなる?

高い圧力が心臓や血管に負担をかけるため、その影響は全身に及びます。高血圧症がひきおこす主な影響は以下の通りです。

心不全、心筋梗塞

心臓を栄養する冠動脈に動脈硬化が起きることで、血管が詰まってしまい心臓の細胞が窒息死する心筋梗塞を引き起こす。
また長期間血圧の高い状態が続くことにより、心臓がオーバーワーク状態となる結果、心臓が疲れ果ててしまう心不全を引き起こすこととなります。

脳卒中

動脈硬化により脳梗塞や脳出血など、場合によっては重い麻痺や運動障害などの後遺症を残してしまう。

腎不全

尿を作ったり、老廃物を濾過&排泄する機能をもつ腎臓は血管の塊です。高血圧による影響を受けて血管が閉塞してしまうと、腎臓のろ過機能が低下し、血液から余分な水分や老廃物を十分に除去できなくなります。重症腎不全の行きつく先は人工透析が必要となります。

網膜症

細い血管がもろくなり出血することで起こる眼底出血などにより、視力の低下を引き起こします。

高血圧の診断基準

日本高血圧学会では、正常血圧を120/80mmHg未満(診察室血圧)とした上で、診察室またはご自宅で以下のような血圧が認められたときに「高血圧症」と診断するとしています。

診察室での血圧測定時

数回の測定の中で、140/90mmHg以上である場合

ご自宅での血圧測定時

1週間ほどの測定平均値において、135/85mmHg以上になった場合

病院に行くか迷ったら

まずは自宅で血圧測定を行いましょう

1週間ほどの家庭での血圧測定で、平均が135/85mmHgを超えるようなら、下記に示します生活習慣の改善を試してみましょう。1,2か月たっても改善を認めない場合には一度医療機関を受診しましょう。

以下のような場合は早めの受診が薦められます

  • 自宅での血圧測定が160/100mmHg以上
  • 数か月の間に徐々に血圧の値が上昇してくる
  • 頭痛や吐き気などを伴う

などの場合は、単なる高血圧ではなく、他の病気が関係している可能性や、高血圧による合併症がひきおこされている可能性がありますので、早めに医療機関(内科、循環器内科)にご相談下さい。

高血圧になる原因

高血圧の原因は、本態性高血圧と二次性高血圧とにわけられ、日本人の高血圧症の約90%は、原因がはっきりと特定できない本態性高血圧とされています。

本態性高血圧

  • 喫煙や肥満、運動不足、塩分摂取過多、睡眠不足、加齢ストレスなど様々

二次性高血圧

  • 甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群、原発性アルドステロン症や腎血管閉塞などの病気
  • 薬剤によるもの(ステロイド、甘草、抗うつ薬、交感神経刺激薬など)

高血圧の検査

家庭血圧の測定

  • 現状の把握(平均値、いつも高いのか、時々高いのか、朝が高いのか、夕方が高いのか)

高血圧を引き起こす原因検索

  • 睡眠時無呼吸の検査
  • 体重測定(BMI指数≧25の肥満)
  • 採血(甲状腺、アルドステロンなどのホルモン異常)
  • 超音波検査(甲状腺、副腎などの臓器異常)

高血圧による影響を調べる

  • 血圧脈波測定(動脈硬化)
  • 心電図(心肥大)
  • 心臓超音波検査(心肥大、心拡大、心不全)
  • ※眼底検査(眼科)

高血圧の治療

二次性高血圧のように高血圧症の原因がはっきりとしている場合は、原因疾患の治療を行うことで降圧が期待できます。
原因が不明もしくは多岐にわたる本態性高血圧症の場合は、まずは生活習慣の見直しを行い、改善がみられない、もしくはすぐに降圧が必要と医師が判断した場合は薬物療法を併用することになります。

  1. 生活習慣の改善
  2. お薬
  3. 原因疾患の治療

生活習慣の改善

食事

塩分を控える

1日の塩分摂取量を6g以下抑えることが推奨されています。
塩分を控える工夫として、

  • みそ汁などスープ類の味を薄めにしたり、量を減らす
  • カレー粉やコショウなどの香辛料で風味を出す
  • 醤油やドレッシングなどのソース類の量を減らす
  • 加工食品(麺、パン、ハム、練り物、冷凍食品など)、市販の弁当、外食を控える
  • アルコール制限
ミネラルやビタミンはしっかりと摂る

野菜や果物、豆類、海藻類などに多く含まれています
※糖尿病、慢性腎不全の治療中の方は、過剰摂取に注意が必要です。

運動

適度な運動により血管機能の改善を促すことで降圧効果が期待できます。
ウォーキング軽や水泳、自転車などのある程度長く継続できる有酸素性運動を1日30分、週に5回程度。
あえて運動の時間を作ることが難しい場合は、通勤やなど買い物の時間に少し余計に歩いたり、30分連続しての運動が難しい場合には、10分ずつを3回に分けての運動でも構いません。

睡眠

睡眠不足は自律神経系の調子を狂わせて、血圧をあげる方向へ働きかけてしまいます。
就寝前のアルコール摂取や、運動、スマートフォンの使用などは脳を活性化させ、睡眠の質を悪くさせることが示唆されています。
また、就寝中のイビキは、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられますので、一度医療機関に相談するのもお勧めです。

禁煙

タバコに含まれる様々な有害物質は、血管を収縮させたり、血管が広がる機能を低下させて高血圧につながりますので、禁煙が不可欠となります。

②お薬(薬物療法)

生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合には、お薬の力を借りることになります。
尿量を増やして血液量を減らす利尿剤、血管を拡張する血管拡張薬、血管をリラックスさせる神経遮断薬など、患者様の高血圧のタイプ、お身体の状態に合わせて処方します。

最後に

血圧が高い言われたことがある場合は、まずは自宅での血圧測定の実施をお勧めします。
血圧を下げる薬を飲んだら一生のみ続けないといけないわけではなく、生活習慣の改善でお薬が不要になるケースもあります。
薬を使いたくない為に、血圧が高い状態を長く維持してしまうことのデメリットもありますので、一度医師に相談されるのも一つの手段だと考えます。大阪天王寺、上本町近辺でしたら夕陽丘ながいクリニックにご相談下さい。