突然「足の親指に激痛がはしった」「足の指の付け根が腫れ上がった」・・・・・病院に行くと「痛風ですね」・・・・なんて経験はありませんか?

触れるだけで激痛に襲われることもあるので、歩く以前に靴を履くこともままならない「出来ればなり無くない」病気の一つかもしれません。

そんな痛風は、高血圧や糖尿病と同じく生活習慣病と考えられるようにもなっており、風邪と同じように誰でもかかる可能性のある病気の一つです。

痛風を経験したことがある方、健康診断で尿酸値が高いと指摘された事がある方、どうしようか気になっているという方は、続きをご覧下さい

痛風は何科?

痛風発作が起きたとき、健康診断で尿酸値が高いと指摘されたときに何科を受診するのか?
基本的には整形外科か、内科にご相談頂ければと適切な判断をいただけると思われます。

整形外科であれば、骨折や他の関節炎を想起した検査及び診断が得意と考えられますし、内科では他の生活習慣病との兼ね合いや内部疾患から痛風を診療するといったことが得意と考えられます。

大阪天王寺区・上本町近辺で病院をお探しの場合は、夕陽ヶ丘ながいクリニックへご相談下さい。総合的な内科疾患のゲートキーパーとして的確な診断・治療に努めます。

痛風の原因と自覚症状

痛風発作を起こす原因は、血液中の尿酸が結晶化して関節などに蓄積することからはじまります。
その結晶が異物と判断されて白血球などが集まってくると、腫れや赤み、痛みといった炎症を引き起こします。

痛風発作のほとんどが、足の指の付け根(特に親指)あたりです。
また、肘や手首、指といった上肢に症状が現れることもあります。


なぜ足の親指周辺に好発するのかは定かではありませんが、一説として以下の様なものがあります。

痛風の原因となる尿酸の結晶が出来やすい状況として「冷たい場所」であること、また強い圧力が炎症を引き起こすきっかけとされており、足の親指の付け根が「強い力のかかる場所」であることのが理由として挙げられています。

高尿酸血症の自覚症状

痛風発作は激痛を伴うことが多いとされていますが、その原因となる高尿酸血症(血液中に尿酸が多い状態)だけでは自覚症状を認めず、健康診断などで指摘されることがほとんどではないでしょうか。

痛風発作の発症や、再発予防の為には、定期的な血液検査により尿酸値を測定することが重要です。

高尿酸血症の原因

尿酸が体に溜まる原因は、尿酸が作られ過ぎてしまう「尿酸産生過剰型」と、尿酸をうまく排泄できない「尿酸排泄低下型」の2つに大別されます。

尿酸値が高くなる原因を考える上でまずは、①尿酸についてふえた後に、②尿酸産生過剰型、③尿酸排泄低下型についてまとめます。

①尿酸とは

尿酸はプリン体から合成される物質です。
人間は何十兆個もの細胞から成りますが、古い細胞は新陳代謝により新しい細胞に変わっていきます。このとき、壊される古い細胞の中にある核酸の成分がプリン体です。ですので、新陳代謝が進むとプリン体が増えることになります。

また、体を動かしたりするのに必要なエネルギー供給の過程でもプリン体が生じます。
というように、生命活動の中で自然とプリン体が作られ、尿酸へと姿をかえています。
体の中にある尿酸の約7割は、こうした生命活動により生じるとされています。

②尿酸産生過剰

上記の様に、細胞の新陳代謝が活性化したり、エネルギー代謝が増えることが尿酸の産生を促進指せます。エネルギー代謝が促進されるものとしては、運動やアルコール代謝などです。

また、食事からの摂取は、体内の尿酸量の約3割程度とされていますが、食べ過ぎれば吸収量も増えることが考えられるため、肥満者で高尿酸血症を合併する割合が高い理由の一つと考えられます。

③尿酸排泄低下

尿酸の主な排泄経路は腎臓(排尿)です。
腎臓機能低下や脱水による尿量の減少は、体内の尿酸濃度を上昇させ結晶化させる要因となります。

夏場に痛風発作が多い理由もここにあると言われていて、ビールなどのアルコール摂取が増えること(尿酸産生増大)、発汗量の増加やアルコール利尿による脱水により、体内の尿酸濃度が上昇することが理由として考えられています。

高尿酸血症の検査と診断

高尿酸血症の診断は採血検査にて行います。
値としては血清尿酸値が7.0mg/dl以上を高尿酸血症としています。

高尿酸血症、痛風の治療

血清尿酸値が7.0mg/dl以上の高尿酸血症を認め、痛風関節炎の症状が出ている、または以前に痛風発作を起こしたことがある場合には、薬物治療の対象となります。

また、症状がなくても血清尿酸値が8.0mg/dlを超えるようであれば治療開始を考慮します。

①痛み止め&抗炎症

急性痛風発作に対しては、NSAIDsやステロイドの投与が検討されます。

②生活習慣の見直し

食事(プリン体の制限)
アルコール制限

③尿酸降下薬

痛風発作が軽快し、一定の期間(2週間程度)が経った後に尿酸降下薬を開始します。
※尿酸値を急激に下げることも、痛風発作を引き起こすとされています。

尿酸産生抑制薬

アロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)

尿酸排泄促進薬

ベンズブロマロン(ユリノーム)、プロベネシド(ベネシット)

尿酸値の目標値

尿酸値の目標は、再発予防を目的として6.0mg/dl以下とされています。

痛風と食事

エネルギー代謝による老廃物として尿酸が作られますので、高エネルギー食(太ってしまうカロリー摂取)は避けるようにすることが望ましいです。

また、尿酸の元になるプリン体はDNAなど細胞内に含まれているため、タンパク質量の多い食材・・・魚介類や鳥獣類、また動物の内臓(レバー、丸ごと食べられる小魚)にもプリン体が多く含まれています。

ただし、タンパク質は3代栄養素で必要量を摂取する必要がありますので、極端にタンパク質を制限するメリットはありません。ただ、体重が増えるような量を食べている場合、太りにくい体質であっても一般的な摂取カロリーを超えて食べるようなことは控える方が賢明かもしれません。

痛風と運動

尿酸値が高い状態の時や、痛風発作後などは、関節に強い負荷のかかる運動は控えることが薦められます。

ダンベルやバーベルを持った高強度の筋力トレーニング、ジャンプやダッシュなどを繰り返すスポーツなどは、関節に蓄積した尿酸結晶に刺激を与えて痛風発作を引き起こすきっかけになるかもしれません。

薦められる運動としては、20分~30分無理なく継続できる有酸素性運動。種目はウォーキングや自転車、水中運動などです。また、息が上がるようなレベルは運動強度が高い可能性があるので、誰かとおしゃべりしながら無理なく持続出来るきつさで運動を行いましょう。

また、運動の際は水分補給も積極的の行うことが大切です。脱水状態になると血液が濃くなり、尿酸結晶を作りやすい状況になります。
※心臓や腎臓の病気で治療中の方は、1日の水分制限がある場合があるので主治医にご確認下さい

痛風とアルコール

お酒(アルコール)は尿酸値を上げてしまいます。アルコールは尿酸の排泄を低下させることに加えて、利尿作用により脱水状態となると、血中の尿酸濃度が上昇して結晶化しやすくなります。

このように、プリン体が多いビールを避ければいいという問題ではなく、アルコールそのものの影響を考える必要があります。

痛風発作を起こしたことがあり、尿酸値が標準値に達していない方は、痛風発作の再発を予防するためには禁酒も一つの手段かもしれません。

完全にやめられない場合には、1日のアルコール摂取量をエタノール換算で20g(缶ビール350ml程度)までに抑えること、お酒を飲んだあとに水分を同量摂取して脱水を予防しましょう。