めまいには、平衡感覚をつかさどる耳(内耳)の異常、心臓や内科疾患、脳梗塞などの脳疾患によって起こるものなどがあります。脳疾患が問題である場合には、重篤な後遺症を残す可能性があるため早めの診断治療が重要です。
一方、耳や心臓が関わるめまいであっても、転倒することで骨折や頭部外傷など重傷を負う危険性が伴いますので、やはり早めの診断治療がすすめられます。
目次
1、直ぐに病院に行く症状
以下のような症状は緊急性が高い眩暈(脳や心臓が関連しためまい)と考えられますので、早期の受診がすすめられます。ご自身で受診できない場合には、119番・救急車を呼びましょう。
- 片側に倒れていくようなめまい
- 力が入りにくい
- ろれつが回らない(うまく発声できない)
- 強い頭痛を伴うめまい
- 吐き気、嘔吐をともなうめまい
- 気を失いそう、または気を失ったことがある
2、めまいのタイプ
一言に「めまい」といっても、その症状は人それぞれです。めまいの症状を伝える時のポイントをおさえて、医師に伝えられるようにしておくと診断に役立ちます。
①どんな感じのめまいなのか
- ぐるぐると目がまわる「回転性めまい」
- フワフワと浮いているような感覚の「浮動性(動揺性)めまい」
- クラッとする「立ちくらみのようなめまい」
②どんな時に起きるのか
- 状況に関わらず起きる
- 振り向いた時、首を回した時
- 仰向けになった時、
- 寝返りを打った時
- 歩くと
③めまい以外の症状の有無
- 吐き気、嘔吐
- 力が入りにくい
- 頭痛を伴う
- 片側に倒れそう
- 気を失いそう、失ったことがある
3、脳が原因のめまいの特徴
脳に原因があるめまいの特徴は、浮動性のめまいで、ふわふわと浮いているような感じ、ぐらぐら揺れているような感じなどが代表的な症状です。加えて、まっすぐ歩けない、立っていられない、しゃべりにくいなどの症状は特に緊急度の高い状態が考えられますので、いち早く医療機関を受診しましょう。
これらの症状が起きる理由としては、
脳の血液供給の問題
脳は酸素と栄養を必要とするため、脳への血液供給に問題が生じると、めまいが発生する可能性があります。
脳に血液を送る心臓の問題、脳に至るまでの血管(首の血管)の狭窄や閉塞、脳の血管の狭窄や閉塞が挙げられます。
中枢神経系の疾患
脳自体に異常がある場合、めまいが発生することがあります。例えば、腫瘍など脳幹や小脳に障害が起きるものなどが考えられます。
薬物や毒性
一部の薬物や有害物質は、心臓や脳に影響を及ぼすことがあり、それがめまいを引き起こす原因となることがあります。
脳が原因のめまいは、その根本的な原因に応じて異なる治療が必要です。めまいが持続する場合、医療専門家に相談し、詳細な評価を受けることが重要です。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
4、心臓が原因のめまいの特徴
心臓や血管を含めた循環器系に関連しためまいの原因には以下のようなものが考えられます。
不整脈(徐脈性)
心拍数が1分間に50回未満になったものを徐脈と言います。
心拍数が減少すると送り出される血液の量も減り、各組織で酸素不足がおきることで、めまいや息切れを起こすことがあります。また、重症の徐脈の場合には冷汗や意識を失う(失神する)場合もあります。
不整脈の種類としては、洞機能不全症候群、房室ブロックなどがあります。
不整脈(頻脈性)
心拍数が100回以上になったものを頻脈/頻拍と言います。
突然に、バクバク、ドキドキといった動悸を感じる場合は、頻脈性不整脈の可能性が高くなります。
心臓の拍動が早すぎても、血液ポンプがうまく働かなくなるため、各組織で酸素不足がおきることで、めまいや息切れを起こすことがあります。また、重症の場合は、冷汗や意識消失、血圧低下などを伴うこともあります。
心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症)
心臓には血液の逆流を防ぐための弁が合計4つ存在しています。
心臓弁膜症は、心臓の弁がうまく機能しなくなる疾患で、硬くなって開きにくくなる狭窄性と、閉じにくくなる閉鎖不全症に分けられます。
脳への血流不足からめまいを生じさせる弁膜症としては、特に大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)が重要です。
大動脈弁ん狭窄症は、めまいに加えて、息切れや胸痛が伴うことがあります。また、重症の場合は失神することもあります。
起立性低血圧
いわゆる「立ちくらみ」と表現されるもので、急に立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害を伴います。
起立性低血圧は自律神経がうまく働かなくなることで起きます。自律神経には血管の太さを縮めたり、広げたりさせる働きがあります。
この自律神経がうまく働かなくなると、立ち上がった時に血管が十分に収縮せず、足に溜まった血液を上に持ち上げることができなくなり、脳への血流が不足し、めまい症状が起きます。
5、耳が原因のめまい
耳には、音を感じる機能以外に、平衡感覚(バランス感覚)をとる働きがあります。
平衡感覚の機能が障害されると、めまいやふらつきといった症状につながります。
メニエール病
突然にめまい発作が起こり、耳が詰まったような感じがして、耳鳴りや難聴を伴うことがあります。
内耳という部分に余分なリンパ液がたまって起こる病気で、耳の中が「むくむ」ことで起きます。
メニエール病のめまい症状は、自分や周りのものがグルグル回っているような感じがする、難聴や耳鳴りを伴うこともあります。
良性発作性頭位めまい症
頭を動かして、決まった頭の位置でめまいが起こるのが特徴で、メニエール病のように耳鳴りや難聴は伴わないとされています。
めまいが起こる頭の位置は人によって異なり、寝返りをしたときや朝起きたとき、上を向いたときや、物を取ろうと下を向いたときなどに起こることがあります。
原因として、耳には三半規管の根元あたりに重力や体の方向を感知する「耳石器」という器官があります。この中には、耳石と呼ばれる石のようなものがあり、それが剥がれて、三半規管に入り込むことで平衡感覚がおかしくなり、めまいを発症します。
6、めまいの検査
問診
どんな時に、どんなめまい症状が現れるのか。また、めまいと一緒に他の症状が起きていないかを伺い、ある程度原因を想定し必要な検査を選択します。
お薬の内容の確認
血圧を下げるお薬を飲んでいないか。
また副作用として血圧が下がったり、徐脈を起こしたりするお薬を飲んでいないか。
12誘導心電図検査
検査の時に自覚症状が治まっている場合には異常を捉えられないこともありますので、1日を通して心臓の電気活動をモニタリングします。
24時間心電図
検査の時に自覚症状が治まっている場合には異常を捉えられないこともありますので、1日を通して心臓の電気活動をモニタリングします。
運動負荷検査
運動時に生じる不整脈や血圧変動の確認を行います。
心臓超音波
心臓弁膜症、狭心症や心筋梗塞など、心臓の動きや心臓の中を流れる血液の動きを確認します。
血液検査
貧血、甲状腺ホルモン、電解質など、血圧を低下させたり、脳が酸素不足になる原因を探ります。
頸動脈エコー
脳へ向かう血管の狭窄(血管が詰まったり、細くなっている)を確認します。
上記の様な検査を患者さんの状態によって実施し、内科・循環器領域のめまいと判断できれば当院で引き続き治療をご案内致します。
また脳や耳が原因のめまいと判断した際には、適切な医療機関をご紹介させて頂きます。
めまいは、大きな病気のサインである可能性もあります。
めまいの程度や頻度が増えてきた、めまいと一緒に他の症状もある、初めて感じるめまいで不安、などがございましたら、一度かかりつけ医にご相談頂くことをおすすめします。
大阪天王寺、上本町近辺でしたら、夕陽ヶ丘ながいクリニックへご相談下されば幸いです。