一般的に太る原因としては、食べすぎや運動不足といったエネルギー収支バランスがプラスに傾く事があげられます。

ですが時折、病気が原因で体重が増える、「太ったように見える」場合があります。もしも体重が増える理由に思い当たるものがない場合は、病気を疑うことも大切です。

早めに病院に受診する増え方

以下の様な体重の増え方、またその他に症状が伴う場合には、やや緊急の病気が関係していることが考えられますので、早めに医療機関に受診されることをおすすめします。かかりつけ医がなければ、お近くの内科クリニックにご相談下さい。

  • 心当たりがないのに1ヶ月で2kg以上体重が増えた
  • トイレ(尿)の回数が減った、尿量が少ない
  • 息切れや息苦しさを感じるようになった
  • 夜中に苦しくて目が覚めるようになった
  • 動悸を感じるようになった
  • 女性で下腹部に大きな膨らみを触れる

何科を受診する?

病気が原因で太る・体重が増えるものとしては、循環器、代謝内科、腎臓内科、婦人科など多様な病気が考えられます。

症状などから判断することは難しいため、まずはあらゆる病気のゲートキーパー的な役割を担う内科医に診断を仰ぐことをお勧めいたします。

食べて無くても体重が増える病気

心不全

血液の循環が悪くなる心不全が悪化すると、手足がむくんだり、尿をうまく作って排出することができなくなります。つまり、血液中の余分な水分が体に溜まることで体重が増えます。

心臓弁膜症、心筋梗塞などの心臓の病気で治療中の方、高血圧や糖尿病、慢性腎不全などのは心不全の発症リスクになります。

1週間で2kg以上の増加、息切れ・息苦しさ、夜中に苦しくて目が覚める、咳が続く、食欲が低下するなどの症状は心不全が悪化して体に余分な水分が溜まっている症状となります。

腎不全

血液から余分な水分を排出する働きがある腎臓の機能が低下すると、血管の中が水分でパンパンになります。すると、血管から水分が漏れ出し細胞の隙間に溜まっていきます。これが足や手の「むくみ」になります。

また、血管内の水分が多いと心臓に負担をかけてしまうため、心不全という病気を発症するリスクや、すでにある心不全を悪化させるリスクが高まります。心不全になると、血液をうまく循環させることが出来ず、腎臓への血流も低下し、尿をうまく作れなくなります。結果として、血管の中に余分な水分が溜まり続けるので体重がどんどん増えていきます。

甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺ホルモンの作用不足によって全身の代謝が低下します。代謝にはエネルギーを要しますので、代謝が低いと言うことは使われるエネルギーも少ないということで、太りやすい状況になります。

また、ムコ多糖類という物質が皮下にたまることで水分を引き込みます。これは、むくみの原因となり体重が増加します。

甲状腺機能低下症の症状としては、むくみや体重増加の他に、便秘、寒がりになる、皮膚の乾燥、脈がゆっくりになるといったものがあります。

クッシング病

副腎という臓器で合成・分泌されるコルチゾールというホルモンがあります。このコルチゾールの作用が過剰になることで体重が増えたり、食欲が異様に増す、顔が丸くなったりお腹が出てくる、簡単に骨折をした、血糖値が高くなった等の症状を引き起こす病気を、クッシング症候群と言います。

クッシング症候群に伴う体重増加の特徴としては、体の中心に脂肪沈着が集中する「中心性肥満」「ムーンフェイス:満月様顔貌)と呼ばれる状態が特徴的とされています。

子宮筋腫

子宮は、洋梨のような形をした女性特有の臓器で、正常の大きさはニワトリのたまご位、重さは約100gです。この子宮にできる良性の腫瘍が子宮筋腫といわれるもので、筋腫が大きくなると数キロにもなることもあるようです。女性の方で、月経周期に関係なく、特に理由がないのに徐々に体重が増えてくる場合には子宮筋腫を含め、婦人科系の病気も疑う必要があります。

やっぱり食べている?

少しずつ食べている

ちょこちょこ間食をする、砂糖が入った飲料を1日何回も飲む、食後のデザートがある・・・など無意識に口にしているものの積み重ねが案外、摂取カロリーを増やして体重増加につながります

意外とカロリーが高いものを食べている

健康に良いと思って食べているものの中には、以外とカロリーが高い食品もあります。

豆類

豆類は基本的には脂質が多く含まれて言います。脂質は1gで9Kcalと高エネルギーです。
絹ごし豆腐1丁で約200kcal(木綿ならもう少し高い)。ご飯1膳と同じくらいのカロリーがあります。

オイル系

アボカド1個 約300kcal
オリーブオイルなどの油 1gで9kcal

果物

バナナ1本 約100kcal
アボカド1個 約300kcal

健康効果の高いと言われている食べ物でも、食べ過ぎるともちろん太ってしまいます。
カロリーが低いと考えられているサラダでも、豆腐、アボカド、オリーブオイルたっぷりのサラダでは超高カロリーサラダになります。

また、特に注意していただきたいのは、「これを食べれば痩せる」「これを食べたら痩せた」といった宣伝です。全て嘘ではないのですが、基本的には、痩せる食べ物も、太る食べ物もありません。


必要な量食べられていなければ痩せますし、必要量以上食べてしまっていれば太ります。
大切なのは、1日のカロリーの必要量が一人一人異なる点です。同じ量を食べても太る方太らない方がいます。一般的な1日の摂取カロリーの目安はありますが、消化吸収能力の差や消費カロリーの差が大きいので、個々に応じた必要カロリーを見つける必要があります。

消費カロリーが少ない

「1日1万歩」歩くとどれくらいのカロリーを消費すると思いますか?体重や歩く速度によりますが、だいたい200~300kcal程度です。

厚生労働省の令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」によると、歩数の平均値は男性で6,793歩、女性で5,832歩と、1万歩に及んでいません。この調査からは、日本人は体を動かすことにカロリーを消費していない、省エネ生活をしているということが言えるかと思います。

ダイエットとリバウンドの繰り返し

特に食事制限をメインとしたダイエット、短期間での急速ダイエットは、体脂肪と共に筋肉も減少しやすいと考えられます。筋肉の減少は、消費エネルギーの減少、活動性の低下など消費エネルギーを小さくする要因となります。

また、急激な食事量減少や、摂取カロリーの減少は、体の防衛反応を呼び起し、消化吸収率の増大や代謝抑制など、エネルギーを貯めやすく消費しにくい体に変化させる可能性があります。
より少ない食事でも生命を維持できるように適応するといった方がわかりやすいでしょうか。

食事や運動でダイエットに成功した場合、その努力を続けないと体重は元に戻ります。体重を減らす努力も大変ですが、本当に大変なのはダイエットが成功した後、その理想体重を維持することです。

前述しましたとおり、体は栄養を欲するようになりますので、ダイエットが成功すると以前に比べて太りやすい体質に変化してしまっている可能性を考える必要があります。ダイエットをお考えの方は、ダイエット成功後についても十分に検討されることをお勧めいたします。

肥満、体重増加が心配

体重は血圧や体温と同じように健康のバロメーターです。健康診断などで肥満と指摘された方、原因が見当たらないのに体重が増えてくる場合には、単なるエネルギーの収支バランスの問題なのか、病気が原因なのか判断がつきづらいかと思います。また、病気が否定されれば、心置きなく食事と運動に励むことが出来ます!!
大阪天王寺区、上本町周辺でしたら、夕陽ヶ丘ながいクリニックへご相談下さい。