こんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。当院では心臓の病気に対する治療&予防手段として心臓リハビリテーションを提供していますが、患者さんには中々イメージが伝わりにくいものでもあり、試行錯誤の日々をおくっております。そこで今回と次回の2回にわたって改めて心臓リハビリテーションについてまとめてみましたので、ご覧いだたけると嬉しいです。

狭心症、心筋梗塞、心不全などの心臓の病気は、カテーテル治療や手術、薬によって治療を行います。しかし多くの場合、完全に治るというより「長く付き合っていく病気」です。
「長く付き合っていく」というのは、「心臓の病気はあるけれど、出来る限りの健康度を保っていく」ということで、そのために推奨されているのが 「心臓リハビリテーション」です。
心臓リハビリには大きく分けて
- 攻め(体力を向上させる)
- 守り(悪化を防ぐ)
という 2つの役割があります。
今回はまず、「攻めの治療」としての心臓リハビリについてお伝えします。
目次
心臓病のあとに体力が落ちる
心筋梗塞や心不全などの心臓病になると、多くの方で体力の低下が起こります。
その理由は大きく3つあります。
① 病気そのものの影響
心臓の働きが弱くなることで、体に十分な血液を送ることが難しくなり、あらゆる器官の機能低下が起きます。また、あらゆる心臓病の終着点である心不全は炎症性サイトカインとう物質が筋肉を構成するタンパク質の分解を進めてしまうことも体力低下の一因と考えられています
② 入院による活動量低下
入院中はどうしても
- ベッド上で過ごす時間が長い
- 歩く機会が減る
といった状況になり、筋力や持久力が低下します。
③ 必要以上の安静
退院後も
- 「動いたら心臓に悪いのでは」
- 「運動してはいけないのでは」
と不安から活動量が減ってしまう方が多くいます。
しかし、過度な安静は逆に体力低下を招きます。
体力低下がもたらす悪循環
体力が落ちると、次のような状態になります。
- 少し動いただけで息切れする
- 疲れやすくなる
- 外出や活動が減る
するとさらに運動量が減り、体力はますます低下していきます。この悪循環は 生活の質(QOL)を下げる要因となります。
また、体力が低いということは、心臓機能、呼吸機能(肺機能)、血管機能、骨格筋機能、エネルギー代謝機能など、「体に備わっている様々な機能の低下」と関連しますので、「動くために必要な体力がなくなるだけではない」という捉え方がより正確です。
薬では体力は上がらない
ここで大事なポイントがあります。
薬は心臓を守ることはできますが、体力を上げることはできません。
「体力を改善できる治療」は、今のところ運動療法だけです。
心臓リハビリの「攻めの役割」
心臓リハビリでは
- 心電図
- 血圧
- 心拍数
などを確認しながら、安全に運動療法を行います。
そして
- 筋力
- 持久力
- 呼吸機能
- 血管機能
を少しずつ回復・向上させていきます。
これにより
- 息切れの改善
- 疲れにくさの改善
- 活動量の増加
が期待できます。つまり心臓リハビリは心臓の病気があったとしても、可能な限りの体力向上をめざし、生活の質を維持改善させていく「攻めの治療」と言えます。
心臓リハビリはガイドラインでも強く推奨されている治療
心臓リハビリは
- 心筋梗塞
- 心不全
- 心臓手術後
- カテーテル治療後
などに対して、国内外のガイドラインで強く推奨されています。
例えば日本循環器学会の「急性・慢性心不全診療ガイドライン」でも**心臓リハビリはクラスⅠ(強く推奨)**に位置付けられています。
しかし実際には
- 専門スタッフの不足
- 設備の問題
- 患者さんへの認知不足
などの理由から、十分に普及していない(恩恵を受けている人が少ない)のが現状です。
まとめ
心臓リハビリには体力を回復させる「攻め」の役割があります。
体力を改善することで
- 息切れの改善
- 活動量の増加
- 生活の質の向上
につながります。
そして攻めは最大の守りでもあります。
体力が高い患者さんほど心臓病の予後が良いことが分かっているからです。
次回のコラムでは心臓リハビリの後半部分として、
「守りの治療」としての心臓リハビリ
についてお伝えします。