こんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。
当院は心臓病治療の一環として心臓リハビリテーションをご提案しておりますが、一定の知識と経験を有する者として、学会認定資格制度が存在します。
心臓リハビリテーション指導士認定試験の結果が公表されていたので、今日は「心臓リハビリテーション指導士試験」について、合格率から見える学習の壁と、自分のサポート方法についてお話ししたいと思います。
目次
試験結果から見えたこと
先日、心臓リハビリテーション指導士認定試験の合格者が発表されました。
毎年の傾向ではありますが、合格率を見ると医師や理学療法士に比べて、看護師や健康運動指導士の合格率が低めです。
※外部リンク(日本心臓リハビリテーション学会HPへ)https://www.jacr.jp/jacrreha/system/examination/2025_26/
「日頃から患者さんと接しているのに、なぜ看護師が苦戦するのか?」
「運動の専門家である健康運動指導士が、なぜ得点できないのか?」
他の医療職との差は“努力不足”ではなく、教育背景や臨床経験の違いが大きいかなと思っています。
看護師が苦戦する理由
看護師さんは日常業務の中で、患者さんのケア、投薬管理、検査介助などを担い、多忙な現場を支えて下さっています。
臨床経験は豊富で、患者さんへの対応力や医師との連携力に関してはむしろ医療チームの中でトップクラスだと思います。
ただ、試験で問われるのは「なぜそうなるのか?」という病態や薬理の理屈です。
看護師の養成課程では幅広い分野を学びますが、病態学や薬学を体系的に深掘りする時間は少ないんじゃないかと感じることが多かったです。
そのために「経験的に理解していることを、理論的に説明できない」というギャップが生まれやすいんじゃないかなと思います。
加えて、日常がマルチタスクで忙しいので、まとまった勉強時間を確保しにくいことなども合格率に影響しているかもしれません。
健康運動指導士が苦戦する理由
一方で自分と同じ健康運動指導士はというと、運動指導や集団コミュニケーション能力に長けているけど、理論部分は苦手な人が多い印象です。
心リハ試験では、循環生理とか心不全・狭心症・心筋梗塞の病態理解。さらには心電図、心エコー、薬学などの知識が必要になります。
健康運動指導士の教育課程では、こうした医療基礎や臨床経験が十分にカバーされていないので、ゼロに近い状態から学び直す必要があります。
しかも臨床経験が少ないから、書籍で得た知識が実際とうまく結びつかない。これが苦戦する理由の一つだと思います。
学習環境の大切さ
心臓リハビリテーション指導士認定試験の合格率は、医師を含め医療系の国家資格を有する人たちが受けて、6割後半から7割程度です。
そして合格率を上げているのは「医師」です。医師の合格率は99%と、毎年一人二人程度が不合格になる程度です。合格率が7割を下回るという事は、看護師や理学療法士、栄養士、健康運動指導士の合格率はもっと低いという事になります。
4割を下回る職種もあり、誇張なく「難しい」んです。相当な準備期間と試験対策が必要だと思っています。
「勉強は自己責任」って言われがちですけど、自分はちょっと違うと思ってます。
そもそも「勉強したい、学びたい」と思える環境、「勉強をサポートする環境」があるかどうかが大事じゃないかなと。
例えば、一緒に試験にチャレンジする同僚がいるとか。
例えば、院長やリーダーが率先してサポートする体制があるとか。
例えば勤務中に少しでも勉強の時間を取るとか。
勉強を労働時間にすることに関しては賛否あると思います。確かにその時は一時的に生産性がゼロに見えるかもしれませんが、結果的には患者さんの満足度やスタッフの満足度が上がる。それが巡り巡って組織の利益にもつながると思うんです。
自分のサポートスタイル
試験対策に絞って言うと、①基礎(生理学、病態)から確認、②問題集ベースで取り組むことが大事だと思っています。
特に医師国家試験の過去問を使うと、知識が整理できているか確認しやすいんですよね。どこの知識が弱いのかが判断できると、サポートの方向性が見えてきます。
問題集をやっていくと、結局のところ基礎部分が曖昧なためにつまづいているなと思うことが多いです。そもそも心拍数ってどうやって調整されている? 血圧って何?どうやって調整されている? など改めて理屈を説明出来るかと言えば・・・案外出来ないことが多い気がします。
医師の卵向けの問題集でやや難しいですが、基礎部分の整理を行ないつつ進めていくと、病態とか検査、薬に関しては、試験での取りこぼしはないかなと感じています。
試験以外でも、そもそも「勉強したい」「チャレンジしたい」と思ってもらうことが一番大事。
そのためには「なんか分かってきたかも!」と思える瞬間をつくりだすことや、「自分が飽きもせず楽しそうに勉強している姿を見せていく」のがポイントだと思っています。一人で勉強することや、わからないまま何となく仕事していてモヤモヤしているケースって結構あります。
自分の場合は心電図が得意なので、心電図の勉強会を入り口にして、うまく流れに乗ってもらえることが多いです。
学習環境が職場選びに繋がる?
ここからは今後の話です。
自分が大事にしたいのは、「学習環境が職場選びにつながるんじゃないか?」っていう視点です。
これから試験に挑戦したい方や、基礎から学び直したい方にとって、安心して学べる環境をつくること。これは心リハを盛り上げていく上で欠かせないと思っています。
そして、一緒に働く仲間にとっても「ここなら基礎から育ててもらえる」って思える環境を提供したいです。
心リハ施設が全国的に増えていくのはすごく嬉しいことなんですが、同時にスタッフの取り合いにもなると思っています。
だからこそ、給料とか条件だけじゃなくて、学習環境が整っていて、成長できるっていうのが、働く人にとっての非金銭的なメリットになる。
そういう環境を整えて、職場として選ばれる組織作りに、自分の力を貢献していきたいと思っています。
※大阪、天王寺、上本町近辺で心臓リハビリテーションをお探しの方は、一度夕陽ケ丘ながいクリニックにご相談下さい。ご見学も随時お受けいたします。