皆さんこんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。


患者さんから、「何で運動するんですか?」「何のためにやるんですか?」としばしばご質問を頂きます。
今回は改めて「心臓病の方に対する運動療法の狙い」について、ガイドライン上の効果も踏まえてお伝えします。

心臓リハビリガイドライン上の推奨度

日本循環器学会と日本心臓リハビリテーション学会が合同で示している、心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン2021年改定版では、

心筋梗塞、慢性心不全といった心臓の病気を患った方の「体力の改善」、「生活の質の改善」、「生命予後の改善」を目的として心臓リハビリテーションを取り入れることは、その効果の科学的根拠と推奨度共に最高クラスに位置づけられています。

このように有効性が確立されていますので、「治療プログラムとしてご提案しない事の方が患者さんの為にならない」と考え、心臓リハビリテーションを取り入れることをお勧めしています。

心臓は体の一部でしかない

心臓が悪ければ、体力が無くなるのは仕方がないと思われるかもしれませんが、実はそうとも言い切れないんです。下のイラストをご覧下さい

大きな力を出せる事、そして長く持続的に動き続けるためには、酸素を取り込む肺の機能、全身に酸素や栄養を届ける心臓の機能、実際に力を発揮する筋肉の機能の3つの歯車の機能が重要です。

心臓や血管の病気になると、心臓の歯車の動きが弱くなり、全身に十分な酸素や栄養を送れなくなります。そしてそのままの状態で放っておくと、下の図のように肺や筋肉の機能も弱った心臓にあわせるように弱っていきます。



こうなると、軽い運動をしただけですぐに息が切れたり、疲れやすくなったり、筋肉が痩せてしまって力が弱くなっていく、また病気に対する抵抗力が小さくなっていきます。

年を重ねると誰でも体力が低下していきますが、心臓に問題があると、体中の機能を巻き込んで年齢による影響以上に体力低下が進行しやすくなります。

心臓が悪いんだから仕方ないと思われるかもしれませんが、実は心臓の状態が悪くても、残りの肺と筋肉の機能を良くすることで心臓の弱さを補い、体力レベルを維持、または向上させることが可能になります。



心臓はあくまでの、体に備わった沢山の機能の一部であるということです。

心臓病で運動する理由

今回のテーマである、心臓病を患った方に運動療法を行う狙いは、実は心臓そのものではなく、その周囲、肺や筋肉、さらに加えて血液が流れる血管の機能や、糖や脂質といったエネルギー代謝機能の向上です。

弱った心臓の周囲を鍛える、または機能を維持することで、心臓の負担を減らし、体全体として体力レベルを向上させることが、良好な疾患管理、自立した生活レベルの延伸につながります。

心臓リハビリテーション

リハビリテーションと名前がつきますので、普通に日常生活を遅れていれば必要がないと思われる方も多いのが実情です。

ですが、これまでご説明したとおり、心臓に病気がある、または心臓の動きが悪いと徐々に体中の機能が低下していきます。

あらゆる心臓病の行き着く先である心不全という状態になると、入退医院を繰り返すこともしばしばです。我が国における全国規模の大規模心不全入院患者レジストリ(JROADHF研究、13,238例)では、1年間の総死亡率22%・心不全再入院率29%と予後不良であることが示されています。

心臓リハビリは、心臓以外の体の機能を可能な限り向上させることを図りつつ、心臓の状態が悪くならないように管理するプログラムです。特に、体を動かす筋肉の機能向上には運動療法を行うしかありません。今のところ安全に筋肉の機能を改善させる薬は存在しません。

単に日常生活が送れることではなく、「悪くならないための取り組み」「予防医療」「健康増進」を、全ての心臓病の方にお伝えしていくことも心臓リハビリに携わるものの重要なテーマだと私は考えています。

全国にある心臓リハビリテーション施設は、少しずつ数を増やしてきています。
心臓リハビリに興味がございましたら、心臓リハビリテーション学会のサイトよりお近くの病院、クリニックをお探し下さい。

https://www.jacr.jp/everybody/hospital

大阪、天王寺区、上本町近辺で心臓リハビリをお探しの方は、夕陽ヶ丘ながいクリニックにご相談下さい。

今回は、心臓の病気がある方に運動療法を行う目的についてお伝えしてきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。