皆さんこんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。
いつも当院をご利用いただきありがとうございます。

最近、テレビやネット、雑誌なんかで「○○は体に悪い!」とか、「○○をやめれば健康になる!」という情報をよく見聞きしませんか?


たとえば、「白米は血糖値が急に上がるからNG」「パンや麺類はグルテンが入っているから腸や肌に悪い」「乳製品は体に毒」――といった具合に、さまざまな食品が“悪者”として取り上げられています。


もちろん、こうした話には科学的な根拠がある場合もありますし、食物アレルギーなどがある人にとっては注意が必要なこともあります。


でも、「あれもダメ、これもダメ」と制限ばかり増えると、「何を食べていいのかわからない」「楽しみがなくなる」と、かえってストレスや不安につながってしまうこともあるかと思います。

ということで今回は、「〇×だけでは語れない、食事と健康」について、私、東野の考えを記してみようかなと思います。一つの考え方として読んで頂けると幸いです。

医療現場で感じるもどかしさ

医療現場でも治療の一環として食事療法があります。

「塩分は控えて下さい」「いい油をとりましょう」「蛋白質の取り過ぎに注意して」・・・病気、病態に応じて気をつけた方がよい事は様々です。

そんな中で、塩分制限やカロリー制限をきっちり守り、検査の数値は理想的。

でも、なかなか笑顔が戻らず、日々の暮らしに喜びが感じられない――そんな方も少なくありません。
私もこうした場面に遭遇しますし、また、とても悩まされます。

ガイドラインを守った食事を行えていて、病態管理としてはバッチリなのに、本人は幸せそうじゃない。

「これで本当に良いいのか?」という感じです。

もちろん、病状や治療効果を最大にするためには、一時的にでもぐっと我慢してしっかりと食事管理に取り組むことが必要な場面があります。

短期間にしっかり状態を改善することで、その後の体の負担が減ることもありますし、反対に「ダラダラと変化が乏しい状態が続く」こと自体がリスクになることもあります。

でもその一方で、「ずっとこの努力を最大限続けなければ」と感じてしまい、強いプレッシャーや義務感が心の負担になってしまうこともあるかなと思います。

正しいと頭でわかっていても、体や気持ちが追い付かないことなんて、そこら中にあるので、支えや励まし、柔軟な考え方といったサポートも同じくらい大切にしないといけないなと思っています。

食事は体だけでなく心も支えてくれる

私たちは、体に必要な栄養をとるためだけに食事をしているわけではありません。

好きなものを食べられる幸福感、人と食卓を囲む時間など、食の時間そのものが、心の栄養になっているんじゃないでしょうか。

健康を守るための制限も大切なんですけど、それが過度になりすぎると、心の元気まで削ってしまうかもしれません。

心の元気がなくなると、それがいろんな不調や病気につながっちゃいます。

その人らしい“生活の中の楽しみ”を守る視点も大切にしてほしいなと思います。

完璧よりも自分にあったやり方

食事療法が辛いなと思われている方、

ぜひ、我慢の積み重ねではなく、小さな“変化”、小さな「できた」を重ねていきましょう。

たとえば、
・腹八分目で止める
・野菜が少ないのであれば、少しずつ量を増やしてみる
・濃い味が好きな人は、減塩調味料をつかったり、天然だしや香辛料などで満足感を得る工夫をする
・お菓子など好きなものを完全にやめるのではなく「頻度や量を調整する」

そんな「ちょっとした工夫の継続」が、続けられる健康習慣につながるんじゃないでしょうか。

小さな「出来た」や、「体に現れるいい変化」を実感出来たときには、今までよりも前向きな気持ちで食事と向き合えるかもしれません。

最後に

食事のことで、生活に幸せ感が無くなっている方は、完璧ではなく、ちょっといい選択をするという風に、一旦ハードルを下げてみるのもいいかもしれません。

あまりにも「外しすぎている場合」、「今はさすがに食事療法を頑張る時です」なんていう時は、、、うちの患者さんなら声掛けさせてもらいますのでご安心下さい。


ではまた。