皆さんこんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。

今回は「大動脈解離のリハビリテーション」についての内容です。

「ある日突然、激しい胸の痛みに襲われ、救急車で病院へ運ばれることになった——」
急性大動脈解離は、前触れもなく突然発症する病気です。

手術が成功しても、「また発症するのではないか」「どれくらい動いていいのか」「元の生活に戻れるのか」と、不安を抱える方が多くいらっしゃいます。

特に、働き盛りの世代で発症された方にとっては、社会復帰や仕事復帰への焦りを感じることもあるかと思います。

不安を抱えたままでは、回復に向けた前向きな一歩を踏み出すことが難しくなってしまいます。ですが、適切なリハビリを受けることで、少しずつ体力を取り戻し、日常生活に戻ることができます。焦らず、でも確実に回復するために、術後のリハビリについて知っておきましょう。

術後の課題

「無事に手術が終わったから安心」と思うかもしれませんが、実際には術後の不安・痛み・体力低下に悩まされる方も少なくありません。

特に仕事や社会復帰を目指す場合、「退院した=元の生活に戻れる」というわけではなく、「家で過ごせるようになった段階」であり、仕事復帰に必要な体力や気力の回復に向けた積極的なアプローチが重要です。

運動療法&心臓リハビリ

術後の体力低下を克服し、日常生活に戻るためには、積極的な運動療法が欠かせません。

が、 「自己流の運動は危険かも」 ということも知っておいていただきたいです。
特に術後の一定期間は、血圧が急上昇すると血管に負担がかかり、手術部位などに悪影響を及ぼす可能性があります。
お薬で血圧調整は行なっていきますが、安静時と運動時の血圧は異なります。
血圧コントロール状況によっては運動中の血圧測定を実施するなど細かな対応が必要な場合もあります。

また、手術の際に胸骨(胸の中央の骨)を切っているので、骨折しているようなものです。そのため3ヶ月程度は上半身に大きな負荷をかけることや、肋骨がねじれる動き(ゴルフや野球のスイング動作)は避けなければいけません。

他にも創部の感染問題もあります。高齢者や糖尿病があるなど傷口が中々治らないとう方もいらっしゃいます。こうなると傷口からの感染といいう最も厄介な状態になる可能性もあります。

メンタル面への影響が思いのほか大きいということです。特に不安が強く、うつ傾向になってしまう方もたくさんみてきました。

大動脈解離の術後は、単に体力改善だけではなく、傷口の管理、メンタル面のサポートなど多面的なサポートが重要です。

血管治療後も心臓リハビリ

心臓リハビリの正式には 「心大血管リハビリテーション」 といいます。名前のとおり心臓疾患だけでなく、大動脈解離のような血管疾患も対象としています。

血圧管理、傷口の管理、体力・気力の改善など多面的な医療介入を行なえるのが、心臓リハビリテーションの強みです。

術後の体力・気力の回復は、仕事や日常生活に戻るための大切なステップです。運動に不安を感じる方、リハビリを受けたい方は、当院でお役に立てることもあるかと思いますので、お気軽にお問い合わせください。

※心臓リハビリについては下記をご参照下さい

夕陽ヶ丘ながいクリニック
大阪府大阪市天王寺区上汐6-3-11