皆さんこんにちは、心臓リハビリテーション指導士の東野です。

心不全(心臓の機能不全により、息切れや、むくみなどが起きる症候群)の治療薬は、しばしば増量されることがあります。患者さんにとっては、「心臓リハビリも頑張ってるのにまた薬が増えた」「リハビリは意味ないんじゃないのか」というお声も頂く事があります。

心臓の病気で通院されていて、お薬が増えていく事に疑問をお持ちの方は続きをご覧下さい。

心不全治療に使われるお薬は、心臓の負担を軽減したり、症状を安定させたりする効果が科学的に証明されていて、日本の治療ガイドラインでは、患者さんの認容性(薬が体に合うかどうか)を確認しながら、可能な限り最大用量まで増量することを推奨しています。

薬を最大用量に近づけることで、今困っている症状を軽くすると言うだけでは無く、心不全の進行(悪化)を抑えたり、入院リスクを減らしたりといった「将来的な恩恵」を最大限に受けられる可能性が高まります。

一方で、いきなり多い量を使うと体が驚いてしまうこともあるため、慎重に調整を進めることも重要です。

心不全治療において薬が増えることは必ずしも「病気が悪化している」という意味ではありません。

順調な治療経過だからこそ用量を「増やすことができる」ということでもあり、「可能な限り健康を引き上げる」「良好な心機能を維持する」ことにつなげるための前向きなプロセスです。

ただし、お薬が体に合っていない、治療効果よりも副作用の方が大きいなど望ましくない結果になることもありますので、医師が慎重に副作用の有無や体の状態を確認しながら調整を行います。

お薬の量が増えたときに、気になる症状を自覚した時にはいつでもご相談ください。

心不全の治療は、患者さんと医療者が力を合わせて進めていくことが重要と考えております。治療内容などに疑問や不安がある場合は、遠慮なく医師やスタッフに相談してください。

心臓リハビリでは診察室で聞けなかったこと、疑問に思ったことを解消出来る場としても重要な役割があると考えています。お一人おひとりの体調や生活スタイル、病気との向き合い方などに合わせて、最適な治療法を見つけていきたいと思います。