
こんにちは、夕陽ヶ丘ながいクリニックです。
皆さん、旅行はお好きですか?
心臓リハビリテーション中の雑談でも、旅行の話題があがったりすると思いますが、患者さんから「飛行機には乗っていいんですか?」というご質問をしばしば頂くそうです。
ということで今回は、安全に飛行機に乗るためのポイントをお伝え致します。
上空1万メートルの環境は地上と異なる環境となりますので、体に影響が出る方もいらっしゃいます。
心臓病で無い方にも当てはまるものが多いので是非ご覧頂き、旅行の際にご活用頂ければ幸いです
目次
気圧の影響
ではまず、気圧の変化と体への影響についてご説明致します。
飛行中の客室内の気圧は地上より低く、約0.8気圧程度に調整されており、高度においては標高約2,000mの山に登っているような状態と同じような環境だそうです。
機内の酸素分圧は地上の約80%と、空気中の酸素濃度が低くなります。
重度の貧血がある方、普通に歩くだけで息が上がってしまうような重症の呼吸器疾患や心臓疾患をお持ちの方にとっては、空気中の酸素濃度が低いと息切れや動悸、疲労といった症状が起きやすい状況と言えます。
過度に心配することもないのですが、不安がある方は、診察時にご相談下さい。
また、飛行時間が長時間になる程に体への負担は蓄積されるので、長距離移動を考えておられる方は、一度短距離移動での体の反応を確認するのも良いかもしれません。
そして、普段から適度な運動習慣を確保して、心肺機能を高めておくことも重要なポイントだと思います。
湿度の影響
次は湿度についてです。
飛行機の機内湿度は、約20%程度まで低下するそうです。
空気が乾燥するほどに、体から水分が蒸発しやすくなり、血液中の水分量が少なくなります。
血液中の水分量が少なくなると血液の粘度が増し、血栓、血の塊を作りやすくします。
後にでてくるエコノミークラス症候群でもお伝えしますが、血栓は、長時間座った姿勢で血流の停滞しやすい足の静脈で血栓が出来やすく、その血栓が飛んで肺で詰まると、肺塞栓症と言って命に関わる状態になります。
機内では、小まめに水分補給をするようにしましょう。
飲物としてはミネラルウォーターがおススメです。
反対に搭乗直前の、アルコールや緑茶、コーヒーなど利尿のある飲み物の摂取は控えるようにします。
エコノミークラス症候群の予防
最後はエコノミークラス症候群の予防についてです。
長時間同じ姿勢で下肢を動かさずに座っていると、太ももやふくらはぎの奥の方にある静脈に血栓ができる深部静脈血栓症を起こすことがあります。
狭い座席に長時間同じ姿勢となるエコノミークラスの方に発症することから、エコノミークラス症候群としても有名です。
この血栓が肺に飛んでしまうと、肺塞栓と言って強い胸の痛みや、呼吸困難が生じ、命にかかわる状態になることもあります。
エコノミークラス症候群を予防するポイントは2つです。
脱水予防
まずは脱水予防が重要ですので、15分おきに一口~二口など、小まめな水分補給を心がけましょう。
足の運動
また、血流が滞らないように、着席中でも足の運動をこまめに行ないましょう。

水分補給と同じタイミングで1分~2分程度体を動かすようにしましょう。
海外などフライトが長時間に及ぶ場合には、1時間ごとに機内を歩くなど、より意識的に足を動かすようにしましょう。
まとめ
- 運動習慣を確保して体力をつけておくこと
- 脱水や血栓が出来ることを予防するために、小まめな水分補給と、足の運動を行うこと
機内で過ごすポイントをおさえて、安全で楽しい空の旅をお過ごしください。
※当院では、心臓疾患を患った方の健康度を最大限に引き上げる治療プログラムである「心臓リハビリテーション」をご提案しております。
心臓リハビリテーション指導士が在籍しており、安全かつ効果的なプログラム提供に努めております。
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