今年は「酷暑」という表現が
総務省消防庁(国の行政機関)の公式サイトによると、2026年7月13日から19日までのわずか1週間で、全国では10,857人が熱中症で救急搬送されました。
熱中症は暑さだけが原因ではなく、多くの場合「脱水」が深く関係しています。
特に高齢者では、自覚症状が少ないまま脱水が進行し、気づいたときには重症化していることも少なくありません。
目次
「飲んでいるつもり」が危ない
診察でも、「ちゃんと水分は飲んでいます。」とおっしゃる方は多くいます。
しかし詳しくお聞きすると、
- 朝にコップ1杯
- 食事のときのお茶
- 薬を飲むときの水
だけということも少なくありません。
本人は十分飲んでいるつもりでも、実際には体が必要としている量に足りていないことがあります。
また、高齢になると「のどが渇いた」と感じる力が低下します。そのため、「のどが渇いたから飲む」では遅い場合があります。
大切なのは、のどが渇く前からこまめに水分を補給することです。
高齢者は症状が目立ちにくい
若い方では、脱水になると
- のどが渇く
- めまい
- 頭痛
などが現れます。
一方、高齢者では
- 何となく元気がない
- 食欲がない
- ボーっとしている
- 眠っている時間が長い
- 少しふらつく
といった、一見脱水とは思えない症状だけのことも珍しくありません。
さらに、もともと活動量が少ない高齢者では、脱水になっても変化が目立たず、ご家族も気づきにくいことがあります。
「今日はあまり動かないな」と思っても、「いつもと変わらない」と見過ごされてしまうことも少なくありません。
ご自身・ご家族で確認できる脱水のサイン
脱水は、病院へ行かなくても確認できるサインがあります。
ご自身でチェックするポイント
- 舌や唇が乾燥していないか(鏡で確認しましょう)
- 尿の色が濃くなっていないか
- 尿の回数が減っていないか
- 強いだるさや疲れやすさはないか
- 立ちくらみやふらつきはないか
- 体重が減っていないか
ご家族が気づけるポイント
- 舌や唇が乾燥していないか
- 水分を飲む量が減っていないか
- 食事量が減っていないか
- トイレの回数が減っていないか
- 会話や反応が少なくなっていないか
- 眠っている時間が長くなっていないか
- 歩くスピードが遅くなったり、ふらついたりしていないか
- 「何となく元気がない」状態が続いていないか
多くてわかりにくい場合は、
「下や唇が乾燥していないか?」を小まめにチェックすることをお勧めします
水分はどれくらい飲めばいい?
「1日に何リットル飲めばいいですか?」という質問をよくいただきます。
実は、水分の必要量は年齢や体格だけでなく、病気の有無や服用している薬、生活環境や季節によって変わります。
そのため、「全員が○L飲めばよい」という決まった量はありません。
ただし、医師から特別な水分制限を受けていない方であれば、飲み物として1~1.5L程度が一つの目安になります。
量だけではなく、先ほどの脱水症のサインに応じて個別に調整していくことが求められます。
- 舌や唇の感想
- 尿の色が普段より濃い
- 尿の回数が普段より少ない
- のどの渇き
- だるさ
- 体重が減っている
一日中空調の整った屋内で生活している場合には、脱水のサインがなく、普段どおり過ごせている方であれば1L程度でも十分な場合があります。
一方で、暑い日や汗をたくさんかいた日、発熱や下痢がある日などは、普段より多めの水分補給が必要になることがあります。
心不全や腎臓病などで水分制限を受けている方で、水分量に不安のある方は主治医に相談してみましょう。
水分の摂りすぎのサイン
脱水を防ぐためには水分補給が大切ですが、過剰摂取も問題になる場合があります。
健常者では水分を多く摂り過ぎても、スグ尿量を増やして体内の水分量を調整できますが、心臓や腎臓の病気があると体内の水分調整が追い付かず、病態を悪化させる可能性があります。
水分の摂りすぎで注意したいポイントは
- 足のむくみ
- 息切れ
- 急な体重増加
などです。
水分補給は「不足しないこと」と「飲み過ぎないこと」のバランスが大切です。医師から水分制限を指示されている方は、その範囲内でこまめに補給しましょう。
また、心臓病や腎臓病の治療を受けられている場合、1週間で1.5~2kg以上の体重増加や、悪化する息切れを含めた体調不良を認める場合には早めに受診することをお勧めします。
運動するときの水分補給
適度な運動は健康維持に大切ですが、暑い時期は脱水にも注意しましょう。
のどが渇く前に飲む
運動中は、15~20分ごとを目安に少量ずつ水分を補給しましょう。
一度にたくさん飲むよりも、こまめに飲む方が体への負担も少なく、脱水予防につながります。
水や麦茶で十分
散歩や体操などの軽い運動であれば、水や麦茶で十分です。
長時間の運動や大量に汗をかく場合には、経口補水液やスポーツドリンクが役立つこともあります。
反対に、ほぼ屋内での生活であったり、数十分の散歩や買い物程度の活動量でスポーツドリンクなどを選択すると、塩分や糖分を過剰に摂取してしまう可能性もあります。
運動前後に体重を測る
運動前後で体重を測ると、水分補給が足りていたかを確認できます。
運動後に300~500g以上体重が減っている場合は、水分補給が不足していた可能性があります。
次回からは、運動中の水分補給を少し増やすことを意識してみましょう。
暑い時間帯の運動は避ける
脱水や熱中症を防ぐためには、水分補給だけでなく運動する環境も大切です。
特に暑い日は、日差しの強い時間帯の屋外運動は避け、朝夕の比較的涼しい時間帯や空調の効いた室内で運動することをおすすめします。
まとめ
脱水は、「のどが渇いた」と感じてからでは遅いことがあります。
特に高齢者では症状が目立たず、ご本人もご家族も気づきにくいことがあります。
大切なのは、
- のどが渇く前からこまめに飲む
- 普段との小さな変化を見逃さない
- 無理のない環境で運動する
ということです。
毎日のちょっとした心掛けが、脱水や熱中症の予防につながります。
大阪市、上本町、天王寺区近辺で「熱中症かな?」「脱水かな?」など、気になる症状がある場合は、夕陽ケ丘ながいクリニックに相談ください。